夢 の あ と
「・・・ 副長、顔色悪いけど大丈夫ですか?」
「・・・・・・」
「・・・副長?」珍しく会議中だというのに土方がぴくりともしない。
隣に座っていた隊士がせっつかれ、副長、と肩を叩いてみるが反応がない。「・・・・・・寝てる・・・?」
「副長が・・・?」直後。
土方が大きく傾いた。「ふ・・・副長ォォォ!!!」
ぺと、と冷たい感触に土方は目を開けた。
誰かが覗き込んでいるが焦点が合わず誰だか分からない。「あ・・・目覚めました?」
「・・・山崎」
「大丈夫ですか?会議中に倒れたんですよ」
「・・・・」ゆっくり起き上がる土方に山崎は手を貸した。心配そうな表情に頭を撫でてやる。
「風に当たりたい」
「開けますね」山崎が窓を開けると生温い風が入ってきて土方は顔をしかめた。蒸し暑い季節にはしょうがないのかもしれない。
「ほんとに大丈夫ですか?何処か悪かったり・・・」
「今日は少し調子が悪いだけだ。心配するな」
「・・・・」山崎の表情に苦笑して土方は手招きする。そろそろと寄ってきた山崎を隣に座らせた。
「しゃきっとしろ、天下の真選組の一員が情けない顔しやがって」
「・・・だってどれだけ死にかけても死なない副長が倒れたなんて心配もしますよ」
「心配かけさせられてんだからお返しだ」
「すいませんね危なっかしくて!」とりあえずは表情が明るくなった。引き寄せてやれば途端に顔が赤くなる。
くるくると表情の変わる奴だ。こっちまで恥ずかしくなってきそうで、誤魔化すように乱暴に顔を引き上げる。
ぽす、
何かの音がした。それでも構わず、唇を合わせた。「・・・は・・・」
シャツ越しに触れた山崎の体温が伝わってきた。
こっちの温度も伝わっているんだろうか。「・・・土方さん・・・?」
山崎の声が遠い。
ゆっくり目を開けると目の前の山崎は青ざめていた。ふっと視界に映ったものを反射的に追えば、・・・山崎。
畳にミントンの羽根が落ちていた。外からこっちを見ている山崎は私服。
・・・・・・非番、じゃねぇか。「・・・誰ですか・・・ていうか・・・俺?」
「・・・あれ?」
「ご・・・・・・ごめんなさい!」隊服の方の山崎が思い切り立ち上がり、慌てて土方の部屋を飛び出した。
硬直する山崎の前で山崎は一瞬立ち止まり、ほんとにごめんなさいと深く礼をする。「ごめんなさい、返すッ」
「んンッ!?」ちゅ
うー・・・
「山崎ィー、羽根みつか」
がさりと沖田が現れて、流石の彼も絶句した。
沖田の出現で山崎は山崎を離し、沖田の傍を抜けて何処かへと走っていく。「・・・何プレイですかィ今のは」
「・・・・・・」何も答えられない土方に、山崎は手からラケットを落として呟いた。
「ドッペル・・・」
「・・・ドッペルってのとはちぃと違う気ィするがねぇ」
「だ、だ、だって自分ですよッ、どう考えても俺でしたよーッ!」
「そんなに揺すらないでくだせぇ」山崎を引き剥がして沖田は無理矢理座らせた。
とりあえず土方の部屋に流れ込んだが状況は変わらない。「その・・・ドッペルってのはなんだ」
「昨日山崎に話して話でさァ。ドッペルゲンガーってェ妖怪がいるらしいですぜィ、自分と全く同じ姿で、本人がドッペルゲンガーに会うと近い内に死んじまうとかいう話でさァ」
「!」
「ドッペルだ〜〜〜俺死ぬんだ〜〜〜!」
「ドッペルってーかたぬきかそこらじゃないですかィ?」
「たぬき・・・」新撰組副長が狸に化かされたというのも屈辱的で土方は顔をしかめる。
ふと考え、狸だかドッペルだか分からないものと自分は触れ合ったのだと考える。「・・・ドッペルだドッペル!狸如きにあんなに上手く化けられて堪るか!」
「えぇ〜っじゃあ俺死ぬんじゃん〜〜〜!」
「死なねェ!あーもーくだらねェッ!大体総悟、テメェは仕事中だろう!サボってんじゃねーよッ」
「へーへー。土方さんも仕事ですぜ」
「わぁってるよ」わたわたしている山崎の頭を叩き、土方はいきおいよく立ち上がる。
と、ぐらりと立ちくらみがして慌てて山崎が支える。「だ、大丈夫ですか?」
「だ〜・・・なんか調子悪ィ・・・」
「・・・ドッペルに精力吸い取られたんじゃねぇですか」
「・・・ドッペルってそう言うモンなのか?」
「さぁ、そんな話は聞いたことありません。でも山崎が返されてたし」
「「・・・・・・」」じゃあなんだったんだよアレは。
わかりません。
続いてしまった・・・ちゅーかもう続きませんよ・・・沖田の口調がわかりません・・・040814